企業組織の全体像

組織の構造

はじめに

企業の組織はどのような仕組みになっているのでしょうか。今回は企業組織の全体像についてざっくりと説明しておきたいと思います。

より詳細な学問的議論は別の機会にしますが、このような組織の仕組みや形を「組織構造」と言ったりします。

ここでは経営学ですので企業を対象にしていますが、組織が存在するところではある程度その構造は共通しています。例えば、行政(県とか市とか)、病院、学校など、世の中にはたくさんの多様な組織がありますが、組織である以上、かなりの部分が共通しています。

企業の組織で学んだことをきっかけに、それ以外の組織がどのような点で異なっているか、考えてみると面白いと思います。

経営者の役割

どんな組織でも組織全体を指揮するリーダーが必要です。企業では「経営者」と言います。もちろん株式会社の仕組みを学んだ人はわかると思いますが、経営者のさらに「上(と一応しておきますが)」に株主総会があります。

ですが、実際に企業を動かすのは経営者ですし、経営者の手腕次第で企業は成長を遂げたり、衰退したりします。その意味で、ここでは企業のトップを経営者と考えて話を進めていきます。

経営者は「代表取締役社長」といった肩書きで呼ばれることが多いのですが、いわゆる「社長さん」ですね。大企業ならなおさらですが、小さな会社でも「社長」となると何かと尊敬されたり、「スゴイ」と思われたりします。

ただ、経営者は1人で経営するとは限りません。他の記事(株式会社の特徴)でも書いていますが、取締役会の決定に基づいて代表取締役は業務執行をします。1人で勝手にはできないということです。つまり、経営者と言う場合、経営層という意味の場合もあります。

さて、それでは経営者というのは何をする人なのでしょうか。つまり「経営者の役割」とはどんなことか、ということです。

企業組織の頂点、文字通りトップにいるのですから、会社全体を把握し、動かしていくのが経営者の役割です。

もう少し具体的に言うと、会社の将来像(ビジョン)を示し、戦略を練り、重要な決定をして指示を出し、全体の状況を把握し、会社の存続を図ります。場合によっては成長のために様々な手を打ち、場合によっては事業の撤退を検討したりします。

また、経営者から指示を受ける各部門はそれぞれの部門で良い結果を出そうと頑張るのですが、経営者はそれらの部門をトータルに見て、全体として良い結果に繋がるように手腕を振るうのです。

現場レベルになるほどルーティンな仕事が多くなりますが、トップの仕事は状況に応じた複雑で高度な判断が必要な仕事が多くなります。

様々な利害を持つステークホルダーと良好な関係を維持しながら、会社を存続させていくのは大変なプレッシャーでしょう。特に、従業員の生活がかかっていることを考えると、気が休まる暇がないのではないでしょうか。

経営者が「エライ」のは、こうした難しい判断を迫られる上に、一つひとつの言動に大きな責任が伴うからだと思います。会社が順調な時はいいのですが、危機に陥ると本当に大変な思いをするのです。

経営者は大変なのですが、経営者だからこそできる仕事があると思います。ワクワクするような、経営者ならではのビジネスの楽しさ、やりがいがあると思います。

ここのテーマは組織の全体像ですので、経営者の役割についてはこのあたりでやめておきます。とても大きなボリュームが必要な内容ですので、そのうちに別の記事で書きたいと思います。

機会があれば、経営者や元経営者の方々の話を積極的に聞いてみてはどうでしょうか。きっと多くの「気づき」や「感動」や「元気」をもらえることと思います。

企業組織の全体像

組織の水平的分化

さて、企業組織の全体像を理解するにあたって、組織が成長してだんだん大きくなっていくことを思い浮かべながら考えていきましょう。

まず、創業者の1人(あるいは数人)がビジネスを始めて、だんだんうまく行くようになると人手が足りなくなります。そこで新たに人を増やして自分たちの仕事を分割してやってもらうようになります。部下と上司の関係ができます。

最初は簡単な仕事から任せるようになりますが、次第にある程度のまとまった仕事を任せるようになり、そのうちに会社の仕事全体をいくつかの部門に分けるようになります。

例えば、おしゃれな文房具を仕入れて、可愛らしいお店で販売するビジネスを考えてみます。最初は小さな店舗を1人で動かしていましたが、繁盛するようになり、大きな店に移転、さらには2号店、3号店と拡大していったとします。

そうすると社長1人ではどうにもならなくなり、店長をやってくれる人、全体の仕入れをやってくれる人、会計(お金の処理や財産の管理など)の仕事をやってくれる人などが必要になってきます。

つまり部下の仕事が、仕事の種類によって分割されるようになります。組織をピラミッドで描くとするならば、横に広がっていきます。これを「水平的分化」と呼びます。つまり「組織の水平的分化」です。図で示すとこんな感じです。

組織構造(水平的分化)

ちなみに経営学では組織で行われるべき仕事のことを「職能」と呼んだりしますので、これを「職能の水平的分化」とも呼びます。

人が集まって仕事をする時、仕事の性質によってチームを分けた方が効率的になることは経験的に分かると思います。このような考え方で組織を分けていくことを「専門化の原則」と呼びます。このあたりはまた詳しく書きます。

お店の運営はそこで必要な独特の技術や知識が必要です。仕入も、会計も同様です。その分野である程度の年月をかけて仕事をすることで蓄積されるものが、担当者、そして組織全体の力になってきます。

組織の垂直的分化

さて、組織がさらに大きくなってくるとどうなるでしょうか。例えば、関東で展開していたお店が関西、九州にも展開され、店舗の数が多くなって社長がすべてのお店の状況を把握することができなくなったとしましょう。これでは社長の仕事を十分に果たせません。どうしたらいいと思いますか?

そうですね。これをまた何らかの基準で分けるんですね。この場合で言えば、地域ごとに分けて、地域の責任者を決め、社長はその責任者を通じて全体を見渡すことができるようにするわけですね。

ここで別のタイプの「分化」が起きます。先ほどのピラミッドの形を利用すると図のような感じになります。(ここではかなり簡略化していますが)

組織構造(垂直的分化)

横の水平的分化と合わせて、今度は縦の分化が起きます。これを「組織の垂直的分化」と呼びます。

このような仕組みによって、会社が大きくなるほどこの垂直的分化が進むことになります。まるでお雛飾りのように何段にも別れていきます。これを「組織階層」と呼びます。

そして、この階層は管理上の上下関係を生み出すのですが、この上下も仕事の内容やその性質によって分けられることになります。

すなわち、現場の作業(ピラミッドの末端)を管理する「現場監督層」、会社全体を管理する「経営者」あるいは「最高経営層」、そして現場管理と最高経営層を接続する「中間管理層」といった形です。

これらは上から順に、トップマネジメント、ミドルマネジメント、ロワマネジメントと呼ばれます。図に示すとこんな感じです。

組織構造(階層)

組織はこのように水平と垂直の分化の組み合わせで、大きな組織の全体像を形成するようになります。このような形(構造)は、人が多くなってもうまく全体としてまとまり、効率的に運営されるように工夫された結果生まれた伝統的な形です。また、経営者にはこのように分化した組織を調整し、一つのまとまった全体として動かしていく役割があります。

呼び名はともかくとして、経営学が生まれる前から、もっと言えば、社会科学が生まれる前から、人間はこのような形の組織が大きな仕事をするのに適していることを経験的に知っていたのだろうと思います。そして組織に関する学問が、それらに理論的な根拠を与えたり、より良い組織の提案をしているのです。

補足:組織図の表現の仕方

ところで、学問的な議論がどれほどされているか調べたことはありませんが、組織図の「描き方」について、最後に付け加えておきます。企業の資料(HPやパンフレットなど)を見ると、その会社の組織図が記されています。たいていはここまで説明してきたようなピラミッド型で、トップが上に、現場の組織が下に描かれています。経営学の教科書でもそうです。経営者が上で一般従業員が下に描かれますし、経営者の上には株主総会が描かれます。

当然のように思うかもしれませんが、はたしてそうでしょうか。また、「表現の仕方の問題で、重要なことではないではないでしょう」という人もいるかと思います。ですが、実は意外に大事なことかもしれません。

トップを上に描くのは、上下関係(つまりどちらが強いか)を明確にしておきたいとか、トップの人がそうしないとうるさいとか、諸々の理由があるのでしょう。でも、会社によってはこれを横向きに描くところもあります。例えば、トップが左側で、そこから右へ枝分かれして現場へ、という形です。個人的な感覚の違いもあると思いますが、「どっちが上」という感じがなくて良いと思う人もいるでしょう。実際の内情は別として、描き方でその会社の雰囲気とか思想が伝わるような気がします。

ごく稀にですが、ピラミッド型をひっくり返して描いた会社を見たことがあります。現場の従業員が一番上で、経営者がみんなを支える格好です。サービス業などのお客様との接点を大事にする業界では、この形はとても好感が持てますし、現場も気分が良いかもしれません。民主的な感じがしますし、もしかしたらモチベーションに影響するかもしれません。

私は、三角形ではなくて、「円」「サークル」でも良い気がします。真ん中にトップの経営者がいて、みんなに囲まれ、みんなを見渡せる、という姿です。逆三角形よりさらに上下感覚をなくした見せ方ですね。理想的ですが、そんな描き方をすると、何かが変わるかもしれません。

「組織図の描き方」と「経営理念」あるいは「モチベーション」、こんなテーマで研究してみると面白いかもしれません。

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